病院案内

院長挨拶

医療法人 あさだ会 浅田病院 院長 浅田 護
医療法人 あさだ会 浅田病院 院長 浅田 護

 「私はいったい誰なのか」「私はいったいどこに行こうとしているのか」という、自分自身への問いかけは、こころの病いを持つ持たないにかかわらず、誰もが人生の中で何度か発するものだと思います。この思春期心性的な問いかけは、どんなに年齢を重ねても、それが自分の意志に基づくものであるにせよないにせよ、人生の大きな転換期には、否応なく私たちに突きつけられてくるのです。

 精神疾患には生物学的要因が大きいとされる統合失調症や、気分障害や、広汎性発達障害から、いくらかの生物学的素因とともに環境要因や心理的葛藤の方が大きな要因といわれる神経症やパーソナリティ障害まで、疾患の背景はさまざまですが、私は、どのようなこころの病いであれ、上記の思春期心性的な問いかけにどう向き合っていくのかということは、極めて重要なことだと思っています。

 患者さん本人も、ご家族も、まず当然ながら「症状」を解決するために医療機関を訪れます。それは、内科や外科とおなじく、困っている症状、つまり、幻覚や妄想、うつ状態や、パニック発作や、拒食や過食、リストカット等を「治したい」「治してやってほしい」といわれます。もちろん、生物学的な背景が大きいこころの病いであれば、症状解決がとりあえず最も重要になります。しかしながら、どんなこころの病いでも、大なり小なり、「発症」の背後には、その人固有の人生の物語があり、その理解なくしては、こころの病いの治療はうまくいきません。こころの病いはもともと画一的な診断体系にはなかなか収まらない性質をもつものですが、それは、つまるところ、患者さんAさんの「Aさん病」としかいいようのない病いのありようだからです。そして、こころの病いの発症は、いかなるものであれ、私は基本的には「思春期心性の問いかけ」が突きつけられ、それにもがきながらも取り組みはじめた、ある意味でポジティブな兆候であると理解します。つまり、それは、より固有の自分の人生を生きるという「発達」や「成長」や「成熟」という側面への出発点になりうるからです。したがって、病状や、症状推移の向こう側で、どのように、そうした思春期的な問いかけに、もがきながらも、それに主体的に自分なりの答えを出していくプロセスを本人及び周囲が「発見していく」ことがとても重要だと思います。私たち、あさだ会浅田病院の治療や援助の基本には、病状や症状の解決とともに、それらの背後に展開している、思春期的問いかけとそれにもがきながらも応えようとするご本人と、ご一緒に考え、試行錯誤していくというスペースを持つことがとても大事であると考えています。そうしたスペースを通じて、精神医療の専門家としての私たち自身の「今患者さんと私たちとのあいだで何が起こっているのだろうか」「こうした対応で本当によいのだろうか」等思春期的な自問自答を繰り返します。患者さんもスタッフも、共に成長していく関係のあり方、場のあり方とはなにかを常に考えています。それが、私たちが治療や援助の基盤におく、力動的精神医学アプローチであり、グループ療法的アプローチであり、治療共同体的アプローチなのです。

 こうした精神医療の基本的な考え方を元に、思春期青年期のみならず、あらゆる心の病いをもたれる患者さんやご家族、そして、地域のニードに誠心誠意、お応えしてまいりたいと思っております。

・院長プロフィール

少年司法と思春期精神医療の対話・懇話会事務局長
広島精療精神医学研究会代表
広島精神分析セミナー代表
日本集団精神医療学会常任理事
日本精神分析学会運営委員
日本集団精神療法学会認定集団精神療法家並びにスーパーバイザー
日本精神分析学会認定精神療法医並びにスーパーバイザー

専門:思春期精神医学、精神分析、集団精神療法
著書:青年のひきこもり(共著)、集団精神療法的アプローチ(編著) 等
訳書:分析的グループセラピー、こころの退避 等
略歴
1983.3 弘前大学医学部卒業
1988.3 医学博士学位取得
1988.12 浅田病院 院長就任(第3代)
1998.4 浅田病院「思春期・青年期」病棟開設
2001.2 英国キャッスル病院思春期病棟留学
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